写真で見る入院生活の1日

「回復期」とは、大きな病気やけがの後で、身体の回復を図る時期のことです。発症後できるだけ早くから多くの量のリハビリを集中的に行うことで、より身体機能・認知機能の改善度が高くなるといわれています。また、車いすや杖などの道具を使ったり、自宅を住みやすく改修したりすることも検討します。回復期リハビリ病棟では、退院後の生活のことを常に考えながら過ごしていきます。

ここでは、時間に沿って場面ごとの一例をご紹介します。(1日の大まかな流れを知りたい方はこちらをご覧ください)

6:00
起床・身支度
パジャマから普段着へ着替えるなど、身だしなみを整えたりします。入院前に使用していた整容道具や動きやすい衣類・靴を使い、動作が難しいところはスタッフがサポートします。
7:30
食堂で朝食
自室から食堂へ移動し、いす(または車いす)に座って食事をします。 食事は温冷配膳車で運ぶことで、できたての温度を保っています。
8:00
口腔ケアと歯科衛生士のチェック
食後、一人で口腔ケアを行うことが難しい方は、看護・介護職員とともに行います。 自分で口腔ケアができる方は月に1回、歯科衛生士のチェックを受けます(歯に問題がないか、汚れの状態など)。
AM
日々の体調確認
当日受け持ちの看護師が体調の確認を行い、退院後も健康管理を継続できるよう指導を行います。都度、医師の回診も行っています。
9:45
音楽療法士生演奏によるラジオ体操
自由に参加できます。音楽療法士がその日の参加者に合わせて生演奏で速度を調整し、看護介護スタッフがサポートします。

※ラジオ体操は、感染状況により開催を判断しています。
10:30
理学療法で運動機能の回復
体の動きや筋肉の状態を確認していきながら、起き上がりなどの基本的な動作や立つ・座る・歩く練習などを行います。
11:30
看護・介護スタッフと生活場面での練習
日常生活そのものをリハビリとして考えています。
各療法とは別に生活場面でできるよう、看護・介護スタッフとともに歩行や乗り移り、更衣、トイレ動作などを練習します。
12:00
昼食・食事場面の確認・口腔ケア
食べたり、飲み込んだりが難しい方には、看護師・言語聴覚士・作業療法士・歯科衛生士・管理栄養士が食事場面を確認し、検査を行ったうえで食事の区分を決めます。
13:15
作業療法で生活に必要な動作能力の向上
退院後の様々な場面を想定し、生活に必要な食事、入浴、家事、更衣などの練習を行います。また、介助指導や余暇活動を行ったりします。
14:00
身体状況に合わせた入浴
週3回の入浴では、体や頭を洗う動作の練習も兼ねています。患者さんの身体状況に合わせてお風呂の種類を変更していきます。
16:30
言語療法でコミュニケーション能力向上
コミュニケーション障害の状態の検査を行います。生活場面でコミュニケーションがスムーズに取れるように、やり取りの仕方を検討します。
18:00
夕食・口腔ケア
食後、一人で口腔ケアを行うことが難しい方は、看護・介護職員とともに行います。
19:00
就寝準備
スタッフと一緒にトイレに行ったり、パジャマに着替えたりします。
夜間は昼間に比べて身体が動かしにくかったり、ふらつきやすいため、転倒に注意しながらトイレ動作の練習をします。
21:00
消灯後の定期的な巡回
消灯後は、コール対応や定期的な巡回で安全に休んでおられるかなど見守っています。

その他

定期
面談
月に1回、方針等を記入したリハビリテーション総合実施計画をもとに、主治医・病棟スタッフがご本人・ご家族と面談し、現状の説明や長期目標、今後の方針について話し合います。
※ 入院2週間以内に初回、以後は月1回
外出・外泊・退院前
介助指導
介助される側・介助者お互いが無理なく安全に動作が行えるよう、声かけの言葉やタイミング、身体の仕組み・力学的原理(介護のボディメカニクス)を活用した介助指導をしています。
退院前等
外出・外泊での練習や家屋調査
練習してきたことを試したり、福祉用具・家屋改修の検討を行ったりします。患者さん・ご家族の希望や現在の状況を確認することで、どのようなリハビリを行い、どのようなサービスを利用して生活をしていくのか検討します。
必要時
装具診察
手足の動きや動作の安定のため、装具を作成することになった場合、装具診察を行います。主治医・リハビリ専門医・リハビリスタッフ・義肢装具士が患者さんにあった装具を作るための検討を行います。
また、装具作成後も定期的に装具診を行い、患者さんの身体状況に合わせて修正や修理を行っていきます。
外出・外泊・退院前
栄養指導
ご自宅での食事に不安がある方や、食事制限のある方に対し外出、外泊、退院前に、管理栄養士が栄養指導を行います。
外出・外泊・退院前
服薬指導
患者さんご自身でお薬を管理して服用される場合や、外出、外泊、退院前に、患者さん・ご家族に対して薬剤師が服薬指導を行います。
必要時
排泄ケア
排泄障害のある方は、排泄のタイミングなどをつかむため「排泄チェック表」で量や回数、前後の様子などを記録し、検討します。
おむつを使用する際は、患者さんの動きや体型に合わせ、おむつフィッターの資格を持った介護福祉士を中心に総合的にチームで判断し、選びます。
必要時
嚥下造影検査(VF)
胃のバリウム検査で用いるX線TV装置を使用して、バリウムの入った食べ物を食べてもらい、その状態を観察する検査です。
食べ物が気管に入っていないか、のどにとどまり食道に流れにくくなっていないかなどを判断します。
必要時
嚥下内視鏡検査(VE)
鼻から直径約3mmの鼻咽腔口頭ファイバースコープを入れてのどの状態を観察する検査です。
どんな食べ物をどのような姿勢で食べれば良いのかの判断を行い、実際の食事内容やリハビリ訓練などに役立てています。
24時間の入院生活の中で、患者さんと一緒に「何をどのようにすること」で生活を組み立てていくかを見極めながら、情報をチームで共有していきます。療法士による基礎的なリハビリの成果を生活の場である病棟内での動作に応用的に取り入れることで、退院したその日から安心して生活できるようにつなげていく、それが当院の役割です。