磁気刺激治療(Neuro-15)

当院では、NEURO(ニューロ)という治療法を実施しています。
NEUROは、磁気刺激治療(TMS治療)と集中的なリハビリテーション訓練を組み合わせた治療法です。
医療機関としてNEUROを施行するためには、慈恵会医科大学及び関連病院における規定研修プログラムを終了し、その後100例以上の施行症例を有する医療機関もしくは安保雅博先生から直接指導を受ける必要があります。このロゴマークは、そうした医療機関のみに使用が認められたものです。

NEUROとは

NEUROは、東京慈恵会医科大学付属病院リハビリテーション科の安保雅博教授グループが世界に先駆けて考案した治療法です。脳卒中後の上肢麻痺(手指の麻痺)の改善を目的として行われます。
磁気によって大脳を刺激して脳の活性化をはかる「TMS治療」と、集中的なリハビリテーションを組み合わせて行うものです。
当院では、15日間入院していただいてNEUROを行う「NEURO15(ニューロフィフティーン)」を実施しています。

TMS治療(磁気刺激治療)

コイルを頭の上から当て、脳神経細胞に磁気刺激を与えます。このとき、健康な側の脳を低頻度で刺激することによって、間接的に病巣側の脳の活性化を図ります。

集中的リハビリテーション

磁気を用いた治療は以前から行われていましたが、NEUROではそれと並行して集中的なリハビリテーションを行なうことで、より顕著で長期的な回復を目指します。
NEURO15では、15日間の入院期間中毎日TMS治療を行いながら、上肢を中心とした個別リハビリテーションを行います。

スケジュール

15日(2週間)の入院となります。
入院当日に、①診察 ②上肢機能の現状評価 ③頭部CT検査 ④入院時オリエンテーションを行います。
治療は、毎日まず磁気刺激(約20~30分間)を行い、それと並行して作業療法士による個別リハビリ(作業療法・約60分間)をし、その後に自主トレーニング(約60分間)を行っていただきます。
この3つ(磁気刺激・個別リハビリ・自主トレーニング)の組み合わせを原則1日2回、午前と午後に行います。
日曜日はお休みとしています。これはご本人の疲労に配慮するためです。
個別リハビリは東京慈恵会医科大学で研修を終了した作業療法士が中心となり、患者さんごとの能力に合わせて、患者さんの理想に一歩でも近づけるようなプログラムを提供いたします。
自主トレーニングは対象者の能力に合わせた課題を適宜提供いたします。

受診するには

まずは以下の適応基準をご確認ください。
大変申し訳ありませんが、現時点では適応基準を全て満たしていないと、治療を受けることができません。
適応基準を満たしているようでしたら、かかりつけ医の紹介状持参で当院の診察を受けていただく必要があります。診察は完全予約制ですので、地域連携室へお問い合わせください。
当院での診察を経て、入院の予約をとらせていただきます。
お問い合わせ:代表電話番号:082-921-3230 (担当:岡、鈴木)

【NEURO15の適応基準】(平成24年12月1日現在)

TMS治療は全ての脳卒中患者さんに対して行える治療ではなく、以下の適応基準をすべて満たしている方のみが対象となります。
また、適応基準を満たしており、治療を受けていただいたとしても、全ての患者さんに効果がみられるわけではありませんので、どうぞご理解ください。

  • 治療時の年齢が16歳以上である。
  • 認知機能がほぼ正常である(認知症ではなく、十分な記憶力と集中力が保たれていること)。
  • うつ病でない。
  • 透析をしていない。
  • 頭蓋内に金属(クリップ、コイル、ステント)が入っていない、心臓ペースメーカーが入っていない。
  • 少なくとも過去一年間においては痙攣の既往がない(脳波検査で異常がない)。
  • 全身状態が良好である(発熱、栄養障害、重度心疾患、体力低下などがない)。
  • 日常生活が自立している(自ら移動できるなど生活上では介助が要らない)。
  • 現在の症状(上肢麻痺)の原因が、脳卒中(脳梗塞、脳内出血、クモ膜下出血)である。

【上肢麻痺】とは

手首を曲げないで、指でグーパーができること。少なくとも母指(おやゆび)・示指(ひとさしゆび)・中指の3指が曲げたり伸ばしたりできること(全く手を握れない、ひとたび手を握ったら全く伸ばせない、などの場合は適応外となります=NEUROを行うことはできません)。