心を1つに 〜朋和会テキスト作成10周年!〜

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。

 「全国都道府県対抗男子駅伝(ひろしま駅伝)」は、新型コロナウイルスの影響で2年連続して中止になっていましたが、今月22日、3年ぶりに安芸路に帰ってきました。声を出す応援は自粛を求められましたが、待ちかねていた多くの観客が沿道に詰めかけ、メッセージ付きのプラカードやのぼり、大きな拍手でそれぞれの故郷の選手たちを応援していました。

 これだけでなく、1月は1日のニューイヤー駅伝、2〜3日の箱根駅伝など、大きな駅伝の大会が目白押しです。毎年お正月は、おせちやお雑煮を食べながら選手たちを応援していましたが、昨年、一昨年は感染対策のため、テレビでゆっくり駅伝を応援する状況ではありませんでした。今年のお正月は久しぶりに選手たちの走りを応援することができました。

 箱根駅伝は視聴率が30%くらいあり、もはや国民的行事と言ってもよいくらいの大会になりました。駅伝は広島世羅高校を応援しようと全国高校駅伝を見始めたのがきっかけですが、その大会で活躍した多くの選手たちが走る箱根駅伝、さらには箱根で活躍した選手の次の舞台となるニューイヤー駅伝(全国実業団対抗駅伝)まで見るようになりました。最近は職員のご家族が、箱根やニューイヤー駅伝に出場したため、より一層応援に熱が入りようになりました。

 今年のニューイヤー駅伝の大きな話題といえば、東京オリンピックで活躍したプロランナー大迫傑選手の出場でした。実業団駅伝の出場チームと言えば、軒並み日本を代表する大手企業の歴史あるチーム名が並んでいますが、大迫選手は7年前に立ち上げたばかりの新興企業のチームから契約によるスポット参戦で出場しました。プロランナーとしての新しい形を模索しチャレンジし続けている姿が報道で多く取り上げられていましたので、どんな走りをするのかとても楽しみでした。しかし大会前に、大迫選手が10月にチームに加わってからどのように関わってきたのかが取り上げられていたニュース番組を見て、その姿勢や考え方に驚かされました。

 今回は選手として単に走るだけでなく、「Playing Director」として所属選手への指導やアドバイスをしてきたそうです。チームに加わってすぐのミーティングでチームメイトに話しかける場面でしたが、大迫選手が選手たちに、何やら冊子を配布していました。確か「PLAY BOOK」と呼んでいたように記憶しています。てっきり私は走り方の技術がたくさん書いてある「虎の巻」だと思っていましたが、内容は全く違いました。

「これはまず皆さんと共有したいと思って配りました。これは一般企業でいう“クレド(Credo:心がける信条や行動指針)”と呼ばれ、入社時に社員に配布される企業理念をまとめた冊子と同じものです。我々はなぜ走るのか? 走ることにどんな意味があるのか? このようなことについて自分の経験からまとめました。チームとしての戦い方や練習方法を話す前に、まずチームで共有すべきなのはここで、一番大事だと思っています。」と最初にチームメイトに伝えました。今回は契約による期間限定のチームメイトで、まだお互いの関係づくりも出来ていない時期だと思いますが、いちばん大事なのは「理念を共有すること」と堂々と述べている姿に感銘を受けました。

 大迫選手の言動から、プロ野球ヤクルトスワローズで長年監督を務め、名将といわれた故野村克也監督の姿を思い出しました。野村監督はミーティングの最初に人間学や社会学を説き、「世のため、人のため、何より支えてくれるファンのため」に何のために野球をやるのか、どういう気持でプレーをするのか、まずは人としてあるべき姿を選手に繰り返し話をされたそうです。この意識改革によってヤクルトは常勝軍団となり、このミーティングで薫陶を受けた教え子達は、2年連続優勝の高津臣吾監督だけでなく、阪神・矢野燿大監督、日本ハム・新庄剛志監督、楽天・石井一久監督など、多くが監督になっています。

 

 どんな組織であれ、チームで仕事をするためには技術やノウハウ以前に、その組織の存在意義や役割、またどのような考え・思いで職員が働き、その組織が何を目指しているのか、というベースとなる部分のベクトルを揃える必要があります。

 当法人では、この理念を共有・教育するためのテキスト「朋和会テキスト」を作成し、今年でちょうど10年になります。最初に作ってから職員の手で毎年改訂を重ね、その内容は100ページに凝縮されたものに仕上がりました。理念は守るものではなく、「思い」を次の世代に継いでいくもの。今年もいろいろな“波”がやってくると思いますが、職員と心を1つにし、皆で乗り越えていきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いします。