チームに必要なこと[2]

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
前回、チーム医療に必要な5つの要素についてお話ししました。その続きになりますが、私はチームアプローチの基本、情報共有の基本というのは、挨拶にある、と思っています。挨拶ができない人間はコミュニケーションが絶対にうまくいかない。前回略語テストの話をしましたが、私は略語テストだけじゃなくて、挨拶がきちんとできているかどうかも試験した方がいいとさえ思います。とても大切なことです。

挨拶するときというのは、相手の目を見て顔を見て、元気がなかったりしたら「あれ?」って心配になったりします。朝職場に入ってきたときに、「おはようございます」って周りの人に言えないっていうことは、気遣いができていないんだと思います。極端な話、関心がない。夜勤の人に朝会ったら、「おはようございます」「ああご苦労様」って、言いますよね。そういう声掛けができないっていうのは、いわゆるチームメンバーに必要な要件を満たしていない人なんだと思います。そこの教育はやっぱり、しなくちゃいけない。医療は、1人じゃできないんです。

リハビリも1人じゃできないから、いろんな専門職がチームを組んでやっているわけですが、みんながバラバラなことをやっていても仕方がないんです。患者さんの担当としていろんな職種が関わっていますが、それだけではチームじゃないんです。烏合の衆に過ぎない。きちんと情報共有して目的を持ったチームアプローチができていると、1+1が5にも10にもなるんですが、逆にそれができないと1+1が0になることもあるわけです。スポーツもそうですけど、チームの強みとか面白さというのは、そこにあると思います。常にスポーツと一緒だなと思います。やっぱりこういう根本的なところを教育していかないといけない。挨拶なんて、言われりゃいつだってできるよ、なんて思っている人間は一生できないんです。考えなくても反射的にできなくちゃ、できるとは言えない。疲れてるときも、自分が調子が悪いときも、相手のことを気遣ってきちんと挨拶できる、自分が一番しんどいとき、どんなに忙しくても、きちんと挨拶をするっていうのが大事なことですよね。患者さんやご家族に挨拶ができないのはもってのほかで、患者さんやご家族に関心がないことを示しているんだと思います。だから、そこはすごく大事で、こういうことをきちんとやっておかないと、いいチーム医療というのはできないんだろうな、と思います。
私は「チームアプローチの基本は挨拶」だと思いますし、「医療安全の基本は患者確認」で、「感染予防の基本は手洗い」だと思います。そういう基本がきちんとできていれば、私は医療事故はかなり減ると思いますし、集団感染は極めて減ると思います。挨拶がきちんとできていれば、チームアプローチの質はかなり上がるだろうと思います。すべてのことにおいて基本となることを、やっぱりきちんと押さえなくちゃいけないだろうと思います。
私たちの勉強した知識とか技術っていうのは、すべて患者さんに還元されます。患者さんをよくするためのものです。質の高いチームアプローチが、患者さんをよくする。すべては患者さんがよくなるために何が必要かということを考える。そこを突き詰めていけるかどうかが、後に大きな差になって現われてくるのではないかと思います。
病気になり、障がいを抱えた患者さんに、我々ができることは何か。リハビリ病院は患者さんを「元気」にする場所です。我々に元気がなければ患者さんを元気にすることはできません。職員に対し、そして患者さんに対し、気持ちよく「元気」に挨拶すること。これは基本的な姿勢であり、新人からベテランまで、皆にできることだろうと思います。