自分の行動を振り返る

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
以前ある番組で、ホテルの客室を清掃するスタッフの方が、「チェックアウト後のお客さんの部屋に入った時、どんな人が泊まったのかその人となりが分かる」、というような話をしていました。一番印象に残っているお客さんとして、サッカー日本代表の長谷部選手の名前が挙がっていました。
私も出張した時にホテルを利用しますが、使ったバスタブや洗面所をキレイにする、ゴミをまとめる、ちゃんとベッドメイクしてから部屋を出るなど、ちょっとした気遣いですが「あとで担当者が清掃するから…」と思っていると、朝忙しくホテルの部屋を出る時に、キレイにしてから部屋を出るということは簡単にできることではありません。
長谷部選手は自著の中で、
僕がここまで来られたそのキーワードは「心」です。僕は「心」を大切にし、「心を整える」ことを意識して生活しています。生活のリズム、睡眠、食事、そして練習。日々の生活から、心に有害なことをしないようにしています…。
 ドイツには「整理整頓は、人生の半分である」ということわざがある。日頃から整理整頓を心がけていれば、それが生活や仕事に規律や秩序をもたらす。朝起きたら簡単にベッドメイキングする。本棚は乱れていたら整理する。ダイニングテーブルの上には物が散らかっていないようにする。きれいになった部屋を見たら、誰だって心が落ち着く。心がモヤモヤした時こそ、身体を動かして整理整頓をしている。心の掃除もかねて。
「心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣。幻冬舎・2011年」

と述べています。この本は100万部を超えるベストセラーになりましたが、普段の心がけ・行動が、最終的に大きなことを成し遂げるためには必要だというメッセージに聞こえます。長谷部選手が日本代表ではキャプテンを任され、所属する海外のチームの中心選手であるだけでなく、指導者として残ってほしいとチームから提案がある理由。それはサッカーの技術ではなく、彼の人間力、すなわち倫理観・道徳観の高さなのでしょう。

当法人の建物は30年近くの年数が経っていますが、「いつもキレイにしてあり気持ちよく使えます」と患者さんやご家族からよく褒められます。一つの理由は、当法人の清掃スタッフがいつも朝早くから一生懸命に掃除をしてくれているお陰です。しかし清掃は時間が決まっているため、いつもキレイであるためには、他のスタッフの「普段の些細な心がけや行動」による力も必要です。
病院内を歩く時、廊下に落ちているゴミを拾う時、洗面台に飛び散っていた水を拭く時、感染予防のアルコール剤が床に液垂れして廊下のワックスが丸く剥がれているのを見た時など、清掃してくれる人、次に使う人のことを皆が考えて行動してくれているだろうか?と思います。誰かがやってくれるから、自分には関係ないから…など、と思っていると、キレイにする気遣いがおざなりになってしまいます。
長谷部選手が言うように、忙しい時ほど心の掃除をかねて整理整頓をする、精神的に負担にならないよう80点くらいを保つ。やはり良い仕事をしようと思ったら「普段の心がけ」から、です。整理・整頓だけではなく、お互いのあいさつ、退院後のフォローなど、相手を気遣い一人ひとりが人間力を高めることが、チームアプローチの力になります。
当法人の理念の前半部分は「信じ合い」です。お互いの信頼関係を築くために、まず何をすべきか。時々自分の行動を振り返りたいと思います。