病院の顔(2) ~連携に王道はなし~

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先月の院長ブログ「病院の顔(1) ~急性期病院との連携~」の続きになります。
しぶとく、めげず、あきらめず、そして明るいYさんは、車で数時間かかるような遠くの病院まで、申込みのあった患者さんには必ず会いに行き、入院案内の資料を直接届けてくれました。遠くであれば郵送する方法や、今ならホームページからダウンロードしてもらう方法もあるでしょう。しかしYさんは患者さんとご家族、そして紹介元の急性期病院に「とにかく顔を見せる」ことで、常に誠意をもって対応し、一歩ずつ着実に関係を築いていってくれました。
「申込みがあった時、また紹介が欲しい時に顔を出すのは誰でもやります。大事なのはそれ以外の時にも顔を見せるかどうか」、「毎年1人でも、極端に言うと数年に1度でもお世話になった病院を大切にしましょう」、「紹介を頂いた患者さんのお部屋まで医師に会いに行ってもらえると、患者さんやご家族が安心するだけでなく、その同室者の人達の評判になります」など、その姿勢から私は多くのことを学びました。
病院の中に居ると気が付きませんでしたが、このような訪問を続けていくと、患者さんが当院を選んでくれるまでに、様々な人達のお世話になっていることに気が付きます。現在当院では、病棟の責任者には積極的に急性期病院に顔を出すようにしてもらっています。もちろん関係づくりという面もありますが、何よりたくさんの選択肢の中から当院を「選んでくれる」過程の中でお世話になる人達に感謝の心を持って欲しいからです。
Yさんは訪問先でいつも「西リハさん」と呼ばれ、「こんなに来てくれるのは西リハさんだけです」と訪問先でよく言われました。当院に来たことがない人達にとって、当院=Yさんであり、Yさんの実直な人柄を通じて、当院に良いイメージを持ってくれていたのでしょう。
現在は、退院後にお世話になるケアマネジャーさんや生活期の施設の方など、当院まで多くの方々に足を運んでいただく場面が増えました。中には10年前に我々が経験したように、アウェイに来て心細い思いをされる方がおられるかもしれません。そんな時、職員の元気の良い挨拶、そしてちょっとした心遣いから、当院「全体」を好きになってくれる人達もおられると思います。例えばどこかのお店で買い物をする時、その時たまたま対応した店員によって、その店にまた行きたいと思うか、二度と行きたくないと思うか、その店に対する印象が変わるのと同じです。
 それぞれの場面で職員一人一人が病院の代表であり、「病院の顔」なのです。
残念ながらYさんは今年70歳の定年を迎えられ、3月で退職されました。
連携に王道はなし。この先幾度の改定を迎えようが、Yさんが教えてくれたように、一例ずつ丁寧に対応し信頼を積み上げていく以外にきっと方法は無いでしょう。