ケアマネジメントの質[1]

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先月、ケアマネジャーを対象とした研修会で、リハビリの話をさせて頂きました。現在の制度では、病気や年齢などの影響で介護が必要になった場合、主に介護保険でリハビリを行います。そのため、ケアマネジャーがリハビリをより広く・深く理解しマネジメントを行うことで、そのケアプランの質が上がると期待しています。
私がそのことを強く実感したのは、今から10年前、大学病院に勤めている時でした。
当時私の担当患者さんで、くも膜下出血による失語症が残存し、外来リハビリを行っていた70代の患者さんがおられました。ある時外来診察に、担当のケアマネジャーさんが同席し、「徐々に本人の能力が低下してきており、奥さんと2人の自宅生活に支障が出てきている」と、高齢の奥さんに代わって自宅生活の様子を一生懸命に説明してくれました。そこで医学的な検査、内服の調整、言語や歩行の訓練目的で、入院リハビリを行うことにしました。
コミュニケーションだけでなく、記憶力や判断力も低下していたため、自ら動き出せず、行動も止まってしまい、それが脳力の低下を招いていました。当時の入院リハビリはまだ1時間程度でしたので、病棟の看護師さんにも協力してもらい、繰り返し一緒に自主トレを行いました。1ヶ月の入院リハビリで、ある程度日課沿って活動が出来るようになりました。退院後も続けられるように、自主トレメニューや歩行介助をヘルパーさんに教え、皆で自宅での日課表を作りました。
退院後の外来でそのケアマネジャーさんから様子を聞き、また病棟で担当していた療法士と一緒に自宅を訪問し、実際の生活状況を見せてもらいました。介護保険制度が始まってまだ数年経過したばかりで、「医療と介護の連携」も十分に出来ていない時代でしたが、そのケアマネジャーさんがずっと中心になって動いてくれました。私自身、「退院後のサービスを調整してくれる人」程度の認識でしたが、このようにマネジメント能力のある担当者に出会ったのは初めてでした。
ケアマネジメントの現状と質の向上については、次回お話ししたいと思います。