患者さんが主役のリハビリテーション

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
昨年末、広島市の「医療と介護の連携推進検討委員会」で回復期リハビリの立場から脳卒中連携の話をして欲しいという依頼があり参加してきました。その中で地域の医師会の先生から、「退院後の脳卒中患者さんから『回復期のような訓練をして欲しい』と言われるのだが、どのようにすれば良いのか?」と質問がありました。

回復期リハビリでは、一日3時間程度、療法士とのマンツーマンリハビリが受けられます。しかし、退院後の介護保険による生活期リハビリでは、それが一週間に3時間程度に減ってしまいます。ケアマネジャーの業界では、それを「リハビリテーションギャップ」という言葉で呼んでいるようです。

 

また回復期リハビリでは、医師、看護師、介護士、療法士、管理栄養士、社会福祉士、など、専門職が身近にいて、困った事はすぐに相談出来ます。さらに専門職同士が毎日情報交換を行い、協議しながらリハビリを進めていきます。しかし家に帰ると医療保険と介護保険の制度上の違いもあり、専門職と話をする機会は減り、先ほどのような濃密なリハビリを受けることは出来なくなります。
先ほどの質問に対しては、リハビリの量や質の問題があることをお答えしましたが、本当に生活期リハだけの問題なのか、すっきりしない感じが残りました。
一昔前のことですが、「リハビリをしましょう」というと、患者さんがベッドにゴロンと横になり、療法士に触ってもらうのを待っている、という話がありました。療法士による治療手技全盛の時代から、回復期リハビリの日常動作訓練が中心となり、その辺りが変わったように思っていましたが、まだそうでもないようです。
回復期リハビリというのは非常に特殊な環境で、限られた期間だけ、多くの専門職に囲まれて、毎日たくさんのリハビリが受けられる制度になっています。リハビリ時間が減る退院後を見据えて、本来はその入院している間に、「自分で」地域生活やリハビリが継続できるよう、その「術(すべ)」だけでなく「心構え」も教えていかなければなりません。回復期リハビリ退院前の期間は、介護保険サービスの調整期間ではありません。障害を負った身体でも、住み慣れた地域で十分暮らしていけることを示し、その方法を習得してもらうための期間です。退院後の患者さんから、先ほど述べたような質問が出るということは、我々回復期側にまだまだ不十分な点があるのでしょう。
リハビリというのは、結局は「自分で」やるものです。障害を負ってつらいのも自分、それに打ち克って頑張るのも自分です。回復期リハビリを退院したその日から、何でも自分達で行われなければならない地域生活が始まります。決して甘いものではありません。退院してもリハビリは「受ける」ものだと思っていては、地域生活は良いものにはならないでしょう。退院後のリハビリは『「主体的に」地域生活やリハビリを継続する患者さん・ご家族』を支援するためにあります。
当法人には、今から20年以上前、前理事長が掲げた「リハビリテーション理念」があります。当時は患者さんに厳し過ぎるという声が多くあがりました。その後一部表現は変わりましたが、「リハビリというのは誰かにしてもらうのではなく、自らのために自ら行うもの。患者さん・ご家族の意識改革が一番大切なことだ。」という前理事長のエールが伝わってきます。

入院の目的
西広島リハビリテーション病院には、急性期の病院で治療を受けた患者さんが在宅復帰に向けた準備のために入院してこられます。
患者さんは、(1)失われた機能を最大限に回復させるためのリハビリテーション訓練と (2)残された機能を最大限に生かしながら自宅や社会の中で暮らせる能力を身につけるためのリハビリテーションを集中的に行います。

リハビリテーションの目的
しかしながら、どんなに医療技術が進み高度なリハビリテーションを行っても、失われた機能が完全に元通りに回復するとは限りません。障がいと共にありながら、積極的に社会参加を行うことが出来る能力と精神力を身に付け、自分らしさを取り戻し、自立した生活を送ることこそリハビリテーションの最も大切な目標です。
私たち職員は、患者さんやご家族が新しい生活スタイルを獲得されて、一日も早く在宅に復帰されるための支援をいたします。

退院後のリハビリテーション
退院後の患者さんは、継続的にリハビリテーションや自主トレーニングを行う必要があります。当院では、患者さんの介護度や生活環境に応じてご利用いただけるリハビリテーションサービスを各種ご用意しております。~一部省略
住み慣れた地域で患者さん・ご家族が安心して暮らし続けることができるよう、私たち職員がお手伝いします。

患者さん・ご家族参加のリハビリテーション医療
新しい生活スタイルの確立に向けたリハビリテーションには、患者さん自身とご家族の積極的な参加が非常に大切です。リハビリテーションの主役は、患者さんとご家族の皆様なのです。

【リハビリテーション理念】 『患者さんが主役の リハビリテーション』