継続の力

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。

広島の毎年1月の風物詩と言えば、「全国都道府県対抗男子駅伝(ひろしま男子駅伝)」です。
平和公園をスタートして宮島街道を走り、宮島口(宮島の対岸)で折り返した後、再び市内を一周してゴールの平和公園を目指します。
1996年に開始されたこの大会は、毎年NHKで全国中継されます。第一回の優勝は広島県で、当時大学生だった私は、テレビに映る平和公園や宮島街道の海岸線、路面電車の軌道などの故郷の街並みを懐かしく思い出しながら応援したことを覚えています。広島に戻ってからも沿道で応援するのが毎年の楽しみでした。
今年の第27回大会は1月23日の開催に向け準備が進められていました。しかし1月に入り広島県内のコロナウイルス感染者が急激に拡大し、全国に先駆けて沖縄県・山口県とともに「まん延防止等充填措置」が適用され深刻な状況になりました。ギリギリまで開催の方向で準備が進められていましたが、開催10日前に2年連続の中止が発表されました。沿道に詰めかけた多くの観客が故郷のチームを応援する大会ですので、感染のことを考えると、やむを得ない決定でした。

開催方式やタイミングによっては、スポーツイベントだけでなく、学校の行事や修学旅行、成人式など、この1年も多くのイベントが中止を余儀なくされています。選手や学生など、「また来年…」がない人達にとっては、貴重な機会が奪われ非常に残念な状況が続いています。一方でこの1年は、夏・冬のオリンピックのように、開催方法や参加者の制限を設け、再開されたものもあります。回復期リハビリ病棟協会の研究大会もその1つです。
この研究大会は毎年2月〜3月、オリンピックのように毎回開催地を変えて行われます。全国から集まったたくさんの病院の皆さんの発表を聴くことができ、また交流を深めるまたとない機会です。しかし2020年の札幌、2021年の熊本と、大会開催が中止となりました。5年前は当院が広島で大会を主催(2017年2月院長ブログ参照)しましたので、中止の決断をされた病院の無念さが痛いほど分かりました。

今年の研究大会も開催についての議論がありましたが、主催病院がハイブリッド開催(現地+WEB)に踏み切ってくれ、3年ぶりに開催されました。一度止まったものを再び動かすには膨大な労力が必要なため、今回の準備はどんなに大変だったかと思います。回復期リハビリの灯を消さずに継続できたこと、そこに大きな意義があったのではないでしょうか。全国的な感染拡大の最中、多くの病院がWEBでも参加できるように、これまでと開催形式を変えて準備をして下さった主催病院の皆様には本当に感謝申し上げます。お陰様で当院からも10名以上が発表の機会を頂きました。
今回の主催は、回復期リハビリ病棟の設立と普及に長年ご尽力され、昨年5月にお亡くなりになった石川誠先生の病院でした。私はリモート参加ではありましたが、先生が情熱を注いで育てあげたスタッフが、全国の回復期リハビリの仲間のために一生懸命に準備をした、その熱い想いが伝わってくる大会だったように感じました。石川先生もきっと満足されたに違いありません。