通常業務の再開(2)

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
前回は、新型コロナウイルス陽性者や治療後患者の対応も未経験だった当院に、リハビリ科の先輩から「コロナ対策の原稿を書いてくれ」と依頼の電話があったところまでお話しました。今回はその続きです。
電話があった翌日のこと、入院患者さん1名の新型コロナウイルス陽性が判明しました。他の病院から転院してきたばかりの患者さんで、入院時の体調に問題はありませんでした。数日後に熱が出て「念のために」と撮影した胸部CTを見て愕然としました。すぐに患者さんの入退院やリハビリをストップし、患者さん・職員の一斉PCR検査を行いました。事前にシミュレーションしていた通りに、患者さんを部屋から動かさず、病棟職員の出退勤の動線も他の職員と交わらないようにしました。「まさか、そんなはずはない」「今回もきっと大丈夫」・・・様々な思いとは裏腹に、その患者さんの陽性とその患者さんが元々入院していた医療機関で陽性者が多数判明したという情報が伝わってきました。
病棟は緊急事態となり、そこからは想像以上の困難が待っていました。
咳や鼻汁、37℃を超える発熱など、疑わしい症状が少しでもある人は全員がPCR検査の対象となります。職員の懸命な対応や患者さんの協力にもかかわらず、その後も陽性の患者さんが一人また一人と判明していきました。陽性者が一人判明すると、症状出現の2日前にさかのぼって接触した職員全てが検査の対象になり、結果判明まで出勤できなくなります。また毎日PCR検査が提出できるわけではなく、週末をはさむと出勤停止期間はもっと長くなりました。病棟のスタッフがどんどん戦線離脱し、出勤者を確保するのも大変な中、夕方に患者さんのPCRの結果が返ってきてから限られた人員で転院調整や職員の勤務調整を対応せねばなりませんでした。
どこにウイルスが潜んでいるのかわかりません。緊張しながら慣れない防護具を着ての患者ケアや頻回の消毒、日を追うごとにスタッフや患者さん達の疲労の色が濃くなっていきました。そして身体も気持ちも追い詰められてきた頃に、陽性者が5名を超え、広島市からクラスター発生の発表が行われました。つい2週間前までは明るい雰囲気だった病棟は、外部との接触が無いように完全に仕切られていることもあり、余計に真っ暗な感じがしました。
(以下、9月につづく)