縦割り組織を打ち破れ

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先日、母校の教授就任パーティーに参加してきました。30年前、その先生が大学でリハビリ医の仕事を始めた頃は、脳卒中で入院した患者さんはまだ2週間くらい安静にするのが常識でした。まだ大学にリハビリ科が出来たばかりで、入院してすぐにリハビリを行う許可を主治医からもらうのに、大変苦労されたそうです。
その頃、脳外科の主治医の許可がもらえず、肩を落として医局に戻って来た若い先生に、こうおっしゃったそうです。「その患者さんは脳外科にだけ受診しに来たのではない。慈恵医大病院にかかりに来たんだ。その患者さんにとって良いと思う事なら、リハビリ科として堂々と主張して来い!」

言われた方の先生は、現在ある病院の院長をされていますが、今でもその言葉が心に残っていると、祝辞でのこのエピソードをお話されました。法人内で組織間の意見対立があると、「その患者さんはうちの法人の患者さんだ。法人全体としてその患者さんに最適なことを考えろ」と、いつもこれを引き合いに出して職員に話をされるそうです。

医療と介護の連携を国が推し進めており、先月・今月だけみても、県・市・区・中学校区と様々なレベルで開催される医療・介護の集まりに当法人の職員が参加しています。行政の動きも活発になってきました。先日は、市の医療課と介護課の方が一緒にお見えになりました。「縦割り組織の代表」とされる行政でさえも、変わりつつあるのを感じました。

 

組織は普通縦割りで作られています。指揮・命令系統を考えると、その方が責任が明確で、動きやすいのは確かです。それ自体が悪いのでは無く、縦割りでしか「動けない、考えられない」ことが問題なのでしょう。
自分達の仕事として、地域リハビリ活動を行う機会が増えてきました。ボランティアではなく、仕事として動く時には、自施設の利益を考えなければならない場面が出てきます。しかし、行政や地域住民、様々な組織の医療・介護関係者と連携して動くためには、その患者さんやその地域にとっての利益についてもきちんと議論が出来る、「身体は縦割りだが、頭は横割り(組織横断的)」、そんな人材が求められていると思います。