地域リハビリ研修会

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
当院では、毎年5~6回「地域リハビリ研修会」を開催しています。平成13年から開始していますので、もう10年以上続いています。
研修会は、医療・介護・健康をテーマに、当院の医療職(医師・看護師・リハビリスタッフ・管理栄養士・歯科衛生士 等)が交代で講師となり、患者さん・ご家族だけでなく、医療・介護関係者、地域住民を対象に行っています。
5月は、当院の管理栄養士が担当して「嚥下食のレパートリーを増やそう!~夏負けしないメニューの工夫~」という研修会を行いました。嚥下(飲み込み)の障害がある患者さんは「家族と同じものが食べたい。」と言われるのですが、ご家庭での嚥下食作りは、なかなか手間のかかる作業です。最近は、市販品も増えてきましたが、コストが高く、メニューや味に限りがあります。
 今回はお茶・牛乳・ジュースにつけたとろみが、時間経過でどう変化するかの実験や、なるべく手間をかけず、家で作れる夏らしい嚥下食メニューとして『ちらし寿司』『豚カツ』『ビールゼリー』『そうめん』などを参加者と一緒に作り、大好評でした。
院内の研修会では、ある程度、知識や経験のある医療職が対象ですから、「知ってもらいたい」ことを中心にお話しますが、地域リハビリ研修会ではそうはいきません。ご家族から専門職まで、幅広い参加者が『知りたい』と思っている内容でなければ「参加してよかった」「勉強になった」と満足してもらえないからです。また、一方的な講義だけでなく、出来る限り参加型にすることが研修のポイントだと思っています。
たった2時間の研修会ですが、かなりの時間をかけて、テーマの選定・内容の企画・広報・度重なるリハーサルを行います。退院後の患者さんやご家族から、退院後の生活の状況や本音をお聞きし、地域の医療・介護関係者が何を知りたいと思っているかを把握して、リハビリ研修会の形にまとめるには、それ相応の努力が必要です。大変ですが、良い勉強になります。
本来リハビリとは、誰かにやってもらうものではなく、患者さん・ご家族が自ら行うものです。
 自分たちで全てやらねばならない在宅生活と、沢山の専門職の支援で暮らす病院生活とのギャップで、結局困るのは患者さん・ご家族です。障害が残存している中で、生活をうまく送る方法、自分たちで行う術を、私たちは教えていく必要があります。病気で心も身体も傷ついた患者さん・ご家族が、再び強く立ち上がれるような支援をしていかねばなりません。
さらにこれからの時代は『地域の自立』を促していく必要があるのではないでしょうか。
 大変なものも頑張るのも、結局はそこに住んでいる地域住民です。
前理事長は「リハビリとはつまり地域づくりだ。大切なのは障害者を取り囲む社会の人たちの啓蒙であり教育である」との思いで、当院を開設しました。
私たちは、その思いを受け継ぎ『自立のための教育・啓蒙活動』としてこれからも研修会を含めた地域リハビリ活動を続けていきたいと思います。