再発予防

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先日ある研修会で、「回復期リハビリでは、もっと再発予防に力を入れた方が良いと思います」と言われました。その先生は循環器内科の先生で、「脳卒中になる人は、狭心症や心筋梗塞になるリスクも高いので注意が必要なのですが、多くの患者さんはそのような事を知りません。再発予防というと、薬などの治療の事が頭に浮かびますが、心臓のカテーテル治療やバイパス手術後の再発予防では、実は食事や運動(リハビリ)などの予防効果がとても高いのですよ。」とデータを交えてお話をして下さいました。
脳卒中も心筋梗塞も血管が詰まり再発の危険性がある病気なので予防が必要なのですが、症状が落ち着くと2~3割の人は、予防のための薬を勝手に止めてしまうそうです。また背景に喫煙、飲酒、糖尿病、高血圧、などの生活習慣や食事があります。

考えてみると「予防」というのは、症状を感じないのに薬を飲み続ける、好きな食べ物を我慢する、苦手な運動を続ける、お酒やタバコを止める、仕事などのストレスを減らす、など、どれも簡単なものではありません。生活習慣を変えるということは、とても大変なことです。その人の過去の生活や仕事、考え方などを十分に聞かないと、以前(2013年1月)お話したような「上から目線」の一方的な指導になってしまいます。現在治療を行う急性期病院では入院日数が短いため、そのような話をじっくり聞いて指導する時間が十分に取れないようです。それ故に回復期リハビリでは、「再発予防」のための患者教育も大事な仕事だ、とその先生はお話されていました。

 

 

多くの病気の背景には、その生活習慣が影響しています。それを我々は知っているのに、病気をする前のその人のことを十分に知らずに医療を行っているのではないでしょうか。骨折にしても腰痛・膝痛にしても、どれも予防的観点で関わって行く事が必要です。目の前の患者さんを「治す」ことだけでなく、目に見えない「再発」を予防することも、我々の大きな仕事だと感じました。
医療の技術はどんどん高度化していますが、我々は今一度、「病気を診ずして、病人を診る」という医療の原点に戻る必要がありそうです。