花地蔵

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。

原爆の日・お盆・終戦記念日が重なる8月の広島は、原爆ドームや平和公園だけでなく、お寺や墓地も大変混み合います。灯籠流しやカラフルな盆灯籠がこの時期の名物です。
特に広島は、信仰心が強いと言われる浄土真宗の安芸門徒が多い土地柄です。年末年始やお彼岸だけでなく、休みの日などにも神社やお寺へ出向き、先祖の供養や願掛けなどで「手を合わせる」ことが日常にあります。しかし病気やケガなどで病院や施設に入ると、このような機会が失われてしまいます。

当法人では毎年4月8日の花祭りの日に、飾り付けた台車にお釈迦様の像を乗せ、患者さんの入院・入所しているフロアを回りますが、甘茶をかけてもらう時、皆さん一生懸命に手を合わせておられます。また退院後の目標として「仏壇に手を合わせる」ことや「お参りに行く」ことが挙がることもあります。
ご自身の健康はもちろんのこと、家族の健康や学業・商売に至るまで、お願いしたいこと、感謝したいことがたくさんあるのでしょう。「手を合わせる」ことは、我々にとって身近な習慣である上に、家から外に出るための大きな動機になっています。以前から当法人では、敷地内にいつでも患者さんがお参りできる場所を作りたい、という話が出ていました。

京都駅の北に、生け花発祥の地としても知られている六角堂(頂法寺)があります。春のしだれ桜や、京都の中心地を意味するへそ石が有名です。そこの境内には多くのお地蔵さんが安置されています。中でも「一言願い地蔵」の柔和な表情は、お参りする人を幸せな気持ちにしてくれます。
そこの説明板にはこう書いてあります。

「一言願い地蔵」
このお地蔵様は少し首を傾げた姿をされていますが、これは悩んでいらっしゃるわけではなく、お参りにこられた方の願いを叶えてあげようかどうしようかと考えておられるお姿なのです。願いを聞き届けて頂けるかどうかは、あなたの信心次第です。欲張らず一つだけ願い事をして下さい。きっと叶えてくれることでしょう。
先日、ずっと探していた六角堂と同じ作者のお地蔵様(花地蔵)を見つけ、屋外歩行コース(リハガーデン:院長ブログ2020年4月号参照)のしだれ桜の下に安置することができました。さっそく患者さん達が手を合わせておられました。お地蔵様にお参りに行く、麻痺側も一緒に手を合わせる、などがリハビリの良い目標になりそうです。
 このリハガーデンでは、階段や坂道を歩く練習をするだけでなく、眼下の瀬戸内海を一望でき、四季折々の花を楽しむこともできます。当院にお越し頂いた際は是非お寄り頂き、この「西リハ花地蔵」に一つだけ願い事をしてみてください。日頃の頑張りがきっと報われることでしょう。