通常業務の再開(3)

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
前回は、転院患者さん1名から新型コロナウイルス陽性が判明した後にクラスター化し、職員・患者さんともに身体も気持ちも追い込まれていった最初の2週間の経過についてお話しました。今回はその続きです。
患者さん・職員ともに、いつ自分が感染してもおかしくない厳しい状況が続きました。食事は全て部屋で行うため、皆で手分けして配膳や食事中の介助を行い、口腔ケアやトイレ介助も感染に気を付けながらの実施です。また重度の患者さんも含めて全て病棟の家庭用浴槽で介助しながら入浴を行いました。職員は通常業務の何倍も疲れたと思います。また患者さんは行動が制限され、リハビリが十分に出来ないストレスを抱えていました。
お互いに余裕がなかったと思いますが、患者さんは消毒のため日に何度も部屋を訪れるスタッフに対して「ありがとう」とねぎらってくれました。これが我々の心の支えになりました。
PCR検査はのべ360回(患者さん156回、職員204回)に及びました。毎回結果が出るまで本当に緊張します。結果が返ってくる時間が少しでも遅くなると、悪い想像をたくさんしてしまいました。
しかし幸いなことに職員から一人も感染者が発生せず、また病棟外に拡がることはありませんでした。これは去年の2月から、消毒やゾーニングなどの感染対応を徹底し、私生活では我慢して自粛行動を続け、皆で一丸となって取り組んできたおかげだと言えます。なぜなら、陽性者が発生した時点でワクチン接種が2回とも完了していたのは、複数病棟を移動する医師と、訓練中に患者と長時間接する療法士だけでした。看護師・介護士やその他の職種は、2回目の接種をちょうど受けている最中で、まだ職員に十分ワクチンの効果が出ている時期とは言えなかったからです。
何度検査を受けても職員からの発生がなかったため、無症状でPCR陰性の患者さんに対して少しずつリハビリを再開してもよい、と保健所から許可をもらいました。リハビリが再開できると分かると患者さんたちの表情が明るくなり、病棟に少しずつ活気が戻ってきました。
7月16日に最後の検査結果が「陰性」で返ってきました。保健所に連絡し、2週間新規の発生がなかったため、翌日から通常業務が再開できることになりました。すぐに患者さん、そして長期間心配をおかけしたご家族に連絡しました。皆さん本当に喜んでくれました。
その日の業務の終わりに、本当によく頑張ってくれてありがとう、そして患者さんの安心のためにまた明日からも気を抜かずに頑張ろう、と職員に伝えました。1ヶ月の苦しかった日々が思い出され、職員の目に涙が浮かんでいました。
業務の終わりに病棟を仕切っていたパーテーションを全て撤去し、1ヶ月ぶりに明るい病棟が戻ってきました。患者さん、職員も皆明るい笑顔でした。この時の光景は、一生忘れることはないでしょう。通常通りの仕事ができ、大きな事故もなく無事に一日が終わることが、どんなに幸せなことか、心の底からそう思えました。
この1ヶ月間、日夜対応にあたってくれた職員、そして一緒に頑張ってくれた患者さん・ご家族に厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。これからも新型コロナウイルスとの戦いは長く続きそうですが、職員一同、皆さんと協力しながら頑張ります。