皆さんの応援が我々の力です

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
今月6日、広島は75回目の原爆の日を迎えました。投下直後に「75年は草木も生えぬ」と言われた広島にとって、今年は節目の年でした。毎年熱中症になりそうな猛暑の中、この平和祈念式典には海外からの参加者や多くの関係者が参列します。しかし今年はコロナウイルス感染症対策のため、海外の国家元首や一般参加はなく、平和公園内への入場規制が敷かれ、広島にとっては寂しい式典となりました。
一旦収まったかに見えた感染症でしたが、7月から感染者が急増し、日本中に再び緊張が走っています。先月広島の飲食店でクラスター(集団)感染が起きました。感染対策をしているつもりでも、飲食やお酒を伴うとマスクは外れ、大声でのおしゃべりになります。このようなお互いに飛沫を浴びる環境を中心に全国で感染が拡大し、新規感染者が連続1000人を超えています。これは3~5月の第一波の倍以上です。第一波では、無症状・軽症者が増えてきたタイミングに、大都市から地方への移動が重なり、それが大きな波になりました。高齢者が多く集まる全国の病院や施設でクラスター発生が続き、重傷者・死者が増加しました。国は慌てて緊急事態宣言を出し、人の移動や通勤・通学を制限しました。今回は前回よりも波が大きいにもかかわらず、国は緊急事態宣言を出していません。全国の病院・施設がこの波に耐えられるが、毎日ギリギリの勝負が続いています。
当法人は、200名を超える入院・入所者をお預かりし、外来・通所・訪問、人間ドック・健康診断では300名以上と接触します。お互いに「うつさない」・「もらわない」対応を行うためには、行動歴・体調を確認した上で、検温と手指消毒を行い、マスクをして距離を取った環境でリハビリやケアなどを行わなければなりません。世間のニュースからは個人の考えの差が窺え、対応を厳しくすることへの心配がありましたが、患者さん・ご利用者さん・ご家族とも最大限協力してくれています。本当に感謝です。
 一方当法人の職員も必死に頑張ってくれています。対応が効果的なのか、十分なのか、明確な答えが無いまま、毎日緊張が続く中での業務や消毒作業が続いています。また仕事だけでなく、日常生活でも気が抜けません。頭で分かっていても、出口が見えない中続けるのは予想していた何倍もしんどいことでしょう。でも音を上げずに続けてくれています。我々が長期に頑張り続けられるのは、患者さん達からの“励まし”があるからです。
会員となっているフィットネスジムが再開した。3密を避けるため、予約制で利用時間と人数を制限。入館時には手指の消毒と検温、過去2週間の体温・健康状態の記録提出も求められる。各運動機器を利用する場合、その前後に手指消毒をし、トレーナーさんが機器を消毒し、どの機器を使ったかの記録も残す。心拍数が上がりやすいウォーキングマシンは、マスクを外せる様に3方がビニールシートで囲われている。
徹底した感染予防対策にトレーナーさんは「厳しくて申し訳ありません」と済まなさそうに言う。いえいえ恐縮すべきはこちらの方だ。従来の運動指導に加え、頻繁な消毒作業。運動負荷を心配してこまめに利用者の体調に気を配ってくれる。だから安心して利用できる…。工夫と努力、そして互いに協力し合うことで“新しい日常”が築かれていくと感じる。
(中国新聞「広場」7月8日朝刊)
これは当法人のフィットネスジムの会員さんが、地元の新聞に投書してくれた記事です。「迷惑がかかるかもしれないから」と施設名が書かれていなかったため、本人から数日後「実は…」と申し出があるまで気が付きませんでした。
 フィットネスジムは、各地でクラスターの温床になったため、当法人でも3月から3ヶ月間営業を中止しました。その間トレーナー達は、病院などの他部門や玄関当番を手伝いながら、再開に向け対策を練ってくれました。感染がいったん収まった6月の中旬に時間予約制・少人数で営業を再開しました。しかし7月に入ると再び感染者が増加し、フィットネスの営業だけでなく、外来・通所・訪問、患者家族の面会などを続けるべきか、また頭を悩ませる状況になりました。ニュースでは行楽地に人がたくさん繰り出し、プロ野球が観客を入れ始め、楽しそうな様子が映し出されています。患者さん、ご利用者さん、面会のご家族、そして職員に制限を強いているこちら側と世間の状況との乖離に、やりきれない気持ちが高まりました。ちょうどそんな時にこの記事を教えてもらいました。自分たちは誰のために仕事をしているのか、誰のために感染対策をしているのか、その原点を思い起こさせてくれました。何度も読み、その度に元気をもらいました。
先日、当院の入り口に、新たに「足踏み式消毒スタンド」が設置されました。しかしこれは最近よく見かける製品とは違います。世界でここにしか無いものです。というのも、通所をご利用中の片麻痺の患者さんが、「日頃の皆さんへの感謝を込めて。早く感染症が収まって、皆が笑顔になりますように」という願いを込め、片手で苦労しながら作り寄贈してくれたものです。そのエピソードを聞くと、皆驚かれます。足で踏んで消毒液が出るたびに、力が湧いてくる気がします。

いまこの瞬間も感染症と戦っている全国の多くの仲間がいます。皆さんの温かい気持ち、お声掛けに支えられ、我々は頑張り続けられます。皆さんの応援が我々の力です。
是非、全国の医療・介護者に熱いエールを!