2000年から20年

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
 今月13日(成人の日)は当院近くの広島サンプラザホールで成人式が開催され、華やかな着物やまだ着慣れない感じのスーツ姿の若者がたくさん歩いていました。今回は2000年生まれの人たちが対象の成人式でしたが、2000年といえば、我々の世界では「回復期リハビリテーション」と「介護保険」という、その後の医療・介護が大きく変わるきっかけになった2つの制度ができた年です。
私は彼らが生まれた翌年の2001年にリハビリ科の医師になりましたが、その当時に読んだリハ医学会ニュースの衝撃は今でも忘れられません。そこには当時のアメリカの医療制度が紹介され、急性期病院は救急治療を終え1週間で退院、必要な人はリハビリ病院に移り4週間で退院とありました。ウソだろうと思いましたが、アメリカの論文を読んでみると、確かに1ヶ月でリハビリ病棟を退院しているデータが載っています。記事の結びには「日本の医療も今後のアメリカ型の医療に近づいていくだろう」とありました。発症して5週目というと当時の私の勤務していた大学病院のリハビリ病棟に、脳外科や整形外科の治療が終わり、ちょうど移ってくるかどうかの時期です。その状況を考えると絶対無理だろうと思いました。
 2008年の社会保障国民会議で医療・介護機能再編成のシナリオが発表され、将来の姿として急性期10日・回復期60日という数字が提案されていました。この時も本当にこうなるのかと驚きましたが、現在急性期病院はどこも平均10日間の入院を目指し、全国の回復期リハビリ病棟の平均入院期間は67日で、ほぼ提案通りになってきています。やはり20年も経つと、時代は大きく変わっているようです。
成人式に参加した2000年生まれの“ミレニアムベビー”たちは4歳の時にフェイスブックが始まり、5歳でユーチューブ、6歳でツイッター、7歳でiPhone(アイフォーン)が登場し、幼い頃から様々なデジタルサービスに慣れ親しんだデジタルネーティブ世代です(日本経済新聞1月7日朝刊「20歳のミレニアムベビー」)。情報の集め方や発信の仕方、コミュニケーションのとり方などが違った環境で育つと、物の考え方や価値観も違ってくるでしょう。
 現場ではこの倍(40年)違う世代が一緒に働いています。しかし世代は違っても、患者さんが良くなることを願い、努力する気持ちは一緒です。当法人ではそれが理念にあたります。「信じ合い 明日を拓く」という理念を大切に、今年も“ONE TEAM”でスタッフ一同頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。