身近な目標
ごあいさつ

病院長
今月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は準々決勝で敗退し、前回のように決勝でアメリカ代表と対戦することを期待していた方にとっては、残念な結果だったかもしれません。
“あの一球”や“このプレー” 、ルールの違いなど、悔しい場面は数多くありましたが、今大会で特に印象に残ったのは、各国代表に名を連ねるメジャーリーガーたちの圧倒的なフィジカルやスピード、そしてパワーでした。
今大会、東京ドームで行われた一次ラウンド大一番の韓国戦で、重要な先発を任されたのはエンゼルスの菊池雄星投手でした。メジャーリーグで長年活躍しながらも、これまで日本代表とは縁がなく、今回が初選出でした。井端監督からの強い要請に応え、「最初で最後の代表になる」という覚悟で大会に臨んだ姿が印象的でした。
昨年12月、菊池選手が日本代表への強い決意を語った場所が、私財を投じて建設した全天候型の野球施設「king of the hill(通称K.O.H)」です。メジャーリーガーの身体能力を間近で感じた経験から、トレーニング環境の重要性を痛感し、5年以上の構想を経て完成しました。
ここでは最先端の計測機器やトレーニング機器が備えられ、練習から身体のケアまでを一つの場所で行うことができます。また、プロ野球選手だけでなく小中学生も一緒に利用できる点が特徴です。この施設を地元の岩手県花巻市に作った理由について、菊池選手は次のように語っています。
一緒に練習したお兄ちゃんがプロ野球選手になって、一軍やメジャーで活躍したら子供たちの意識は変わるじゃないですか。自分の能力に制限をかけているのは自分だと思うので、「あの人ができるなら僕もできるんだ」と思ってほしい。高いレベルの選手たちに触れる機会は(プロ野球の球団がある)仙台まではあっても岩手にはないですから。そういう子供たちにね、「僕もできるんだ」って思ってもらえたら最高です。
また菊池選手は、岩手県から大谷翔平選手や佐々木朗希選手など世界で活躍する選手が多く輩出される理由について問われ、次のように述べています。「明確な答えは分かりません。ただ一つあるとしたら、『あの人が出来るんだったら俺もできる』と思っていることではないでしょうか。自分事として思えるかどうかがとても大事だと思います。」
岩手県では、身近にいる人が甲子園に出る、プロ野球に進む、メジャーで活躍するという流れの中で、「自分事」として考えられるようになる子供たちが増え、“良い連鎖”が続いているのかもしれません。実際に大谷翔平選手も、中学生の時に花巻東高校で練習していた菊池雄星選手を見て、「自分にもできるんじゃないかと可能性を持てたことがすごく良かった」と語っています。
4月から当法人には多くの新入職員が入ってきます。多くの先輩や同僚に囲まれ、これから研修や現場でのトレーニングが始まります。最初は自信が持てないこともあると思いますが、そのような時は少し上の先輩たちを見て欲しいと思います。挨拶が上手な人、笑顔が素敵な人、姿勢が良い人、気が利く人、話が分かりやすい人・・・。周りには「自分にもできそう」と思える、目標にできる人がたくさんいることに気づくはずです。
昨年入職した職員に声をかけると、皆それぞれの現場でしっかり仕事ができるように成長していました。今年の新人にとって、このような先輩たちがきっと良い「身近な目標」になることでしょう。そして今年の新人もまた来年には、誰かにとっての目標となる・・・。そのような良い連鎖が続くことを期待しています。