変わりゆく日本の医療

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
2月の2日・3日に岩手県盛岡市で開催された、回復期リハビリの研究大会に参加してきました。昨年の今頃は天候を心配しながら、広島大会の準備やその間の病院運営の準備で大忙しだったことを思い出します。
今回の盛岡は、大会長の先生が「いつもより暖かいです」と言っておられましたが、朝はマイナス10度近くにまで下がり、不慣れな我々にはさすがに寒く感じました。歩道には雪が多く残っており、革靴で滑らないように歩くのが大変でした。また荷物だけでなく、コート、マフラー、手袋などを一緒に預からなければならないクロークは前回以上に混雑しました。無事に大会が終わった後の主催病院の皆さんのホッとした顔を見て、本当に「お疲れ様」と思いました。一方、広島大会から取り入れたアプリの抄録集など、我々の大会から始めたことが受け継がれている部分は嬉しく感じました。
今回の大会のテーマは「回復期リハ病棟の理想郷(イーハトーブ)を考える~診療・介護報酬同時改定を見据えて~」でした。イーハトーブとは岩手県出身の作家、宮沢賢治の心の中にある理想郷を示す造語です。回復期リハビリ病棟が厳しい環境にある中、これからのあり方を考えるという想いでこのテーマに決めたそうです。
私が登壇した2日目の報酬改定(医療・介護における数年に一度のルール変更)のシンポジウムで、厚労省の方から「日本の医療は今変わらなければならない」というお話がありました。高齢化と働き手の減少という人口構造の変化、国の財政状況の悪化、そして高額薬剤・機器の登場などの医療技術の進歩によって、国民の負担が増えています。しかし諸外国と比較してみると、日本の医療水準は高く、しかも高齢化に対する医療費の割合が実は低いそうです。この良い医療を次世代に残していくためには、限られた日数と人員で治療やリハビリなどの医療を行っていくしかありません。治療を行う急性期病院のベッド数が多いことがこの状況を招いており、今年4月の医療と介護の報酬改定で、この状況を少しでも良い方向に持っていきたい、ということでした。
「早く良くなって住み慣れた地域に帰りたい」というのは、どの患者さんにも共通する願いであり、また国の状況から考えても、治療をする病院も、その後のリハビリをする病院も、この先入院期間がもっと短縮されていくでしょう。集中的にリハビリを行い、早期に回復させることがさらに大切になりますが、我々はそのリハビリを退院した後のことを考えながら行わなければなりません。入院時に患者さん一人ひとりの生活をしっかりと把握し、地域生活へ戻るための準備を早く始め、そしてその生活が長続きするよう退院後のフォローアップすることが大切になります。
今までのように、じっくり時間をかけて入院リハビリを行うことが難しい時代になりました。どこまで入院リハビリで行い、残された課題を退院後の生活やリハビリでどのように克服していくのか。入院中に患者さんやご家族としっかりと計画を立て効率的に進め、そして退院後を担うスタッフと併走しながら徐々にバトンタッチしていく、そのような姿勢が必要になります。
国の状況は厳しいですが、その中でもリハビリの理想郷を追究していきたいと思います。