外部評価の活用

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
うだるような夏の暑さが過ぎ去り、“食欲の秋”がやってきました。ちまたにはグルメのガイド本や雑誌の情報が溢れています。中でも有名なのがフランスの“ミシュランガイド”です。星(☆)がいくつ、などが毎年ニュースになるほどです。
 ミシュランガイドは元々ドライバーがドライブを楽しむためのガイドブックとして始まったようですが、今では匿名調査による信頼性の高いグルメガイドとして知られ、2007年には東京版が刊行されました。2013年5月には広島版が発売され、広島を訪れる外国人観光客が、時々手にしているのをみかけます。
4年前、その広島版が発売された前日、当院は日本医療評価機構の病院機能評価受審の真っただ中でした。これはミシュランのような匿名調査ではありませんが、病院の診療やサービスの「質」を測る外部評価です。当院は1999年のver.3から5年の更新ごとに連続して受審しており、その都度、病院内の機能の見直しや、サービス向上へ取り組むきっかけとして活用してきました。しっかり準備ができ、良い評価を多く頂きましたが、いくつか課題を指摘されました。自信があっただけに、その指摘が素直に受け止めきれないこともありました。その時畑村先生の言葉を思い出しました。
見たくないものは見えない。見たいものが見える。
人間はものを見たり考えたりする時、自分が好ましいと思うものや、自分がやろうと思う方向だけを見がちで、見たくないもの、都合の悪いことは見えないものである。
自己の利害だけではなく我々を取り巻く組織・社会・時代の様々な影響によって、我々自身の見方が偏っていることを常に自覚し、見落としがあると意識していかなければならない
東京電力福島原子力発電所事故調査・検証委員会「最終報告」畑村洋太郎委員長の所感より
自分たちのチェックでは、見たくないものや都合の悪いものは見えなくなります。このような外部評価を活用し定期的に受審することで、病院の中を満遍なく点検することができ、また病院に求められる「質」が時代とともに変化しているのが理解できます。我々はどうしても「質」を自分たちで判断しがちですが、その判断をするのは個人でも組織でも本来は周りの人たちのはずです。
 当院は退院された患者さんにアンケートをお願いしています。お褒めのコメントはとても嬉しいのですが、大事なのは時々頂くお叱りの声への対応です。それに向き合うことは苦しく、言い訳をしたくなりますが、現在の当院のシステムや取り組みを振り返ってみると、その出発点は、患者さん・ご家族の「声」であり、外部評価の「指摘」でした。
「見たくないものを見る」、「聞きたくないことを聞く」。これらに真摯に向き合い、期待に応えるよう努力を積み重ねることで、病院の本当の質が向上していくように思います。来年の病院機能評価受審まで、8ヶ月あまりになりましたが、皆で頑張っていこうと思います。