生活期との連携はいつから[1]~連携体制づくり~

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
2000年に回復期リハ病棟が創設され、回復期の前が「急性期」、後が「生活期(当時は維持期と言われた)」に区分されるようになりました。
回復期ができてからの数年間は、患者さんの退院が決まり、住宅改修のために家屋訪問を行うだけで、「あそこの病院は退院前に自宅を見に来てくれる」と、退院後を担当してくれるケアマネジャーなどの生活期スタッフに喜ばれた時代でした。
2008年の回復期リハビリの研究大会シンポジウムでは、当院のPTが「具体的な家屋改修」というテーマで発表しました。「家屋訪問をやっているだけで感心」された時代から、「どのように家屋改修を行うか」に変わってきた頃です。やがて退院前の家屋調査は回復期リハの常識となりました。
2014年の診療報酬改定において、入院初期の家屋訪問が診療報酬化されました。当院では家屋にとどまらず、地域の状況など退院後の社会参加も視野に入れて評価し、図面・写真だけでなく動画による情報を積極的に活用するようにしています。写真と比べ、動画は生活の動きがわかり、情報量が圧倒的に増えます。そのおかげで入院中のリハビリがより具体的になり、そして入院中から退院後の目標を具体的に立てることができるようになりました。回復期のスタッフの意識も「退院前の家屋改修のための訪問」だったものが、「入院時に生活空間を把握し、より具体的な退院後の目標を設定するための訪問」に変化しつつあります。
このように、生活期との連携は少しずつですが変化しているように感じていました。しかし先日、回復期の代表として出席した「地域連携パス」の県全体の会議では、「生活期に欲しい情報が伝わって来ない!」と怒られてしまいました。おそらく、情報自体が不足しているのではなく、「生活期が欲しい情報」が不足しているのでしょう。地域のシステムとしてレベルアップするためには、まだまだ時間が必要なようです。
この原因として、回復期側に「退院後の生活を想像する力が不足している」という事だけでなく、私はもう1つ、「生活期との連携を始めるタイミングが遅い」ことにあると考えています。
当院では回復期を始めた2000年から、患者さんを自宅に退院させるだけではなく、退院後の「地域生活にソフトランディング」させることを目標にしてきました。そのため、2006年にはそのソフトランディングを目的とした、リハビリマネージャーを専属で地域連携室に配属しました。そして2007年より院内に導入された「院内クリニカルパス」には、入院時から「退院調整」の枠を設定し、院内の手順を作成しました。そして2008年からはソフトランディングに向けた法人内の連携体制を強化するため、「地域連携会議」を開始しました。
この頃から本格的に回復期から生活期への法人内の連携体制づくりが始まりました。
連携の取り組みについては、次回お話ししたいと思います。