チームの“質”

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
昨年、広島で劇団四季のミュージカル「美女と野獣」が上演されました。それまでこのような演劇は観た事がありませんでしたが、誘いを受け、初めて観に行きました。
 開演後、最初は何となく気恥ずかしい感じがしましたが、出演者の歌や踊りの上手さにすぐに舞台に引き込まれました。しばらく感心しながら観ていましたが、途中から裏方の大道具・小道具、舞台展開、照明などが、舞台を一層引き立てていることに気がつきました。これら全ての人達の動きの息がぴったり合っていて、相当な練習を積んでいることが素人の私にも分かりました。しかも誰一人として穴がなく、全てが高いレベルに思えました。
 舞台の前後半の間に休憩があり会場を歩いていると、「本日のキャスト」と書いてある看板を見つけました。毎日1~2回の舞台が数ヶ月続きますので、上演ごとに少しずつメンバーが変わっているらしいことが分かりました。またパンフレットには他県で行われている舞台の宣伝が載っていました。このレベルのチームが何チームもあり、各地で「劇団四季」として上演されているのだと、初めて知りました。調べてみると、所属する700名以上の俳優スタッフを中心に、全国で年間3000回以上も公演している、ということでした。
キャストが変わっても観客の期待に応えるだけの高いレベルを維持しながら上演し続けているチーム力。それを同時に何チームも作れるだけの組織力。もちろん新人もいるのでしょうが、彼らを教育し、経験を積ませ、1人前に育て、それが全国の人を満足させながら何十年も続いているというのはもの凄いことです。上手な舞台俳優の演技力ではなく、その「チーム力」に感動しました。
我々の仕事は24時間・365日、多職種で行うチームによる仕事です。刻々と状況が変わる患者さんの情報をリレーのように引き継ぎながら、日々仕事を行っています。また組むチームメンバーも日によって違います。患者さんが感じ、そして評価するのは、誰か一人の傑出した力ではなく、我々のチーム力だと思います。
 桶の水が一番低い板の高さまでしか入らないように、チーム力というのは一番低いレベルの人の力量に合ってしまいます。患者さんに満足してもらえるよう、毎日高いレベルを保つためには、各々の日々の努力と、組織としての「教育」が必要です。
4月にはまた新しい仲間を現場に迎えます。教える側も教えられる側も基本を徹底し、組織で「鍛え」、本物の「チーム力」を身につけられるよう、職員一丸となって頑張りたいと思います。