ハドルを制するものは・・・

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
私が学生時代に行っていたアメリカンフットボールでは、毎プレー開始前に「ハドル」と呼ばれる円陣を組んだ作戦会議を行います。1試合100プレー以上はあるでしょうか。その中では、相手に関する様々な情報を皆で共有し、ひとり一人の動きを確認します。しかしハドルの時間は25秒と決められていますので、リーダーはその時間内に情報を収集し、試合の流れを見ながら次のプレーを選択し、各プレーヤーに指示を行わなければなりません。試合で効率的に情報交換を行うために、試合前には長い時間をかけてプレーやサインの打ち合わせが行われます。また、グラウンド外からは客観的に試合を見る事が出来るため、外から効果的な指示が来る事もあります。

このように、グラウンド内外の情報を収集・分析し、的確なプレー判断が出来れば、優位に試合を進められます。アメリカンフットボールは激しい身体のぶつかり合いであると同時に、情報戦です。究極のチームスポーツと言われますが、究極のコミュニケーションスポーツとも言えます。

ハドル内での伝達が終わると、11人のプレーヤー全員が、手をパチーンとたたいて(クラップして)それぞれのポジションに散っていきます。これを「ハドルブレイク」と言います。本場アメリカの強豪チームのハドルには見事な統一感があり、ハドルブレイクの練習を徹底する事からシーズンの練習が始まるそうです。学生の頃他のチームを観察していて気付いたのですが、強いチームには、ハドルの集合・離散が素早い、準備体操から皆が真剣に行う、よく声を掛け合う、などの共通点がありました。一方弱いチームはその逆でした。そのチームから醸し出される雰囲気を見るだけで、試合をしなくても強いか弱いかが分かりました。
リハビリの現場でも、毎朝病棟の患者さんについての作戦会議(朝ミーティング)を行っています。時間内に情報交換や議論を済ませ、それぞれの持ち場に向かわねばなりません。そこの集合・離散、挨拶・返事、情報の伝達・受取の状況が、私達のレベルを表しています。朝ミーティングに参加すれば、そこの病棟やチームのレベルが分かるのです。
アメリカンフットボールには、「ハドルを制するものは、ゲームを制す」という言葉があります。私達も「朝ミーティングを制するものは、・・・」と同じ事が言えるでしょう。
新人研修中の新入職員には、まず朝ミーティングの入り方から教える必要がありそうです。