地域を元気に! 〜当法人の地域リハビリ活動〜

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
もう随分前のことですが、地元にある家政婦紹介所の方に、「お父さんには昔大変お世話になったのですよ」、と言われたことがあります。病院が今のような完全看護体制になる前、入院患者の身の回りの世話をしていたのは全国に11万人以上いた付添婦(つきそいふ)でした。当法人の創業者である父は、「大切なのは障害者を取り囲む周りの人達の啓蒙であり、教育である」という思いを胸に、長年付添婦の仕事をする家政婦さん達にも研修を行っていたそうです。
 1996年4月の保険制度の改正で付添婦は廃止されましたが、その仕事は現在の介護福祉士やホームヘルパーに受け継がれています。開業以来、ここでも何度かご紹介した「地域リハビリ研修会(2014年6月2016年3月)」など、地域住民の教育・啓発活動を柱とした「地域リハビリ活動」は、当法人の大事な使命としてずっと続けています。
先月(11月)は、地域リハビリ関連のイベントが目白押しでした。
 まず2日は「介護要らずで元気に過ごそう」のテーマで5回にわたって開催した地域リハビリ研修会の最終回でした。今年は全部でのべ165名の方が参加してくれました。10日は毎年開催される地元の区民まつりの日でした。これには2007年から毎年参加し、地域住民の健康づくりの啓発活動として、体組成測定や筋力測定などを行うブースを出しています。今年も常連さんも含め200名を超える方にご利用いただきました。また9日・10日の両日、広島市の介護フェスタにも初めて参加してきました。(株)システムフレンドと共同開発した機器(MMV 鑑 -AKIRA-)を使って足のバランス力を測定し、その結果について療法士がアドバイスを行いました。測定者が228 名とこちらも大盛況でした。
 21日には金沢で行われたリハビリの研究大会で、当法人の地域リハビリ活動について発表する機会がありました。「いろいろな活動を頑張っているね」と多くの方に褒めて頂きました。しかし患者さんだけでなく、それを支えるご家族や我々職員も皆地域の住民です。いつ患者さんの立場になるか分かりません。障害を負った方が地域で当たり前に暮らせるように、元気で包容力のある地域社会を作るための活動は、決して特別なことではありません。しかし、これらの活動に対しては保険上の収入があるわけではありませんので、周りからは“頑張っている”という評価になるのだと思いますが、少し複雑な気持ちになりました。
日本リハビリテーション病院・施設協会は、地域リハビリテーションの定義を次のように定めています。
地域リハビリテーションとは、障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れたところで、一生安全に、その人らしくいきいきとした生活ができるよう、保健・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活に関わる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力しあって行う活動のすべてを言う
日本リハビリテーション病院・施設協会 1991(2001・2016改定)
かつて「地域医療の父」と呼ばれた若月俊一先生は晩年、「本来、病院は地域のためにあるはず。病院が地域のことをしなくなったため、わざわざ『地域医療』という言葉を使わなきゃいけなくなった」と嘆いておられたそうです。この定義から考えると、我々の普段の仕事や生活の全てが地域リハビリ活動といえます。
 このマインドを「当たり前」に持った職員や地域住民をたくさん育て、「地域を元気に!」することが、現在の当法人の使命と言えるでしょう。