ピンピンコロリ(1) ~キョウイクとキョウヨウ~

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先日本屋さんに行くと、健康に関する本や雑誌がたくさん並んでいました。「○○をもみなさい」、「○○を鍛えなさい」、「○○だけで健康になる」、などなど。そんな単純なものではないと思う一方で、日本国民の多くが健康を維持するための方法に大きな関心を寄せていることが分かります。
 私も年を重ねる度に実感しますが、健康というのは大切な財産です。
今年度も7月から毎月地域リハ研修会(院長ブログ2014年6月2016年3月2017年11月)を5回シリーズで開催しています。昨年度の「のばそう!健康寿命」に続き、「いつまでも自分の足で歩こう」という介護予防がテーマです。先月は2回目の「筋力・バランスの向上」について講義や実技を行い、多くの方が参加されました。このような研修会に参加される皆様の健康意識は特に高く、「健康に良いものは何でも取り入れよう」という貪欲な姿勢が伝わってきます。参加者の皆さんから、「寝たきりにならずに、できたら自宅で亡くなる直前まで元気に活動したい」、という声が多く聞かれました。講義の中でも触れられましたが、いわゆる「ピンピンコロリ」です。
ピンピンコロリは頭文字をとって「PPK」と略されます。この言葉が生まれたのは、1980年(昭和55年)の長野県高森町で、長野県から派遣された北沢豊治さんが「健康で長生きし、死ぬ時はあっさりと大往生したい」という町民の願いを叶えようと、健康長寿体操を考案し、「ピンピンコロリ(PPK)運動について」と日本体育学会で発表したのが由来のようです。
 現在広島市では、「がんばれカープ!いきいき百歳体操」を地域包括支援センターが中心となり、各地域で行っています。これは高知県の取り組みを参考に作られましたが、広島市が「いきいき活動ポイント」を事業化(ポイント還元あり)した後押しもあり、その活動がとても盛り上がっています。昨年広島市が大雪で交通が大渋滞した日に、指導を頼まれていた職員が「今日は大雪で残念だったですね…」と電話すると、「皆さんもう歩いて集まっておられますよ」と言われて驚いた、というエピソードがあるくらいです。
今回の研修参加者の中にも、この体操の活動に参加されているお元気な方がたくさんおられました。しかし体操だけで元気になっているわけではありません。「皆の集まりに参加する」、ということがとても大切です。まず出かけるためには準備が必要です。前の日は何時に寝るか、何を着て出かけるか、しっかり運動するために朝ごはんは何を食べるか、など。そして、参加者と交流することで会話や気遣いが生まれます。
「課長 島耕作」などで有名な漫画家の弘兼憲史さんは、最近の著書の中で、ピンピンコロリを実現する大切なこととして、「キョウイク」と「キョウヨウ」、と表現されておられます(弘兼憲史著 「ぼくのピンピンコロリ」)。「今日行くところがある」、「今日用がある」、ということです。
 地域リハ研修会は地域の方にいろいろなことを勉強して知識をつけてもらう場、こちらは本来の「教育」と「教養」の場です。超高齢化社会で豊かな老後を送るため、これからも地域リハ研修会をよろしくお願いします。